122 実験進行のルールを理解する
ルール(a) 実験はここに与えられた物だけを使う
ルール(b) グループで行動する(討論,データ共有,分業)
ルール(c) 2 回の実験でデータをまとめ,考察し,指定の日までにレポートを提出
以下に各々を具体的に検討していこう.
■(a)実験機器・器具と精度
本実験で利用可能な実験機器・器具・素子は,
ディジタルオシロスコープ(信号発生装置付き)
回路構成用シャシ(コイル固定)
抵抗器,コンデンサ,その他ジャンパ線等
※抵抗器,コンデンサは希望すれば別の値が使える
共通する機器・素子については「実験書―共通編」の該当章を参照.
機器・素子の扱いだけでなく「精度(誤差)」についてもよく調べ,考えよう.
★精度の甘い素子,精度の甘い測定機器・測定方法を使えば
→ 得られるデータはすごくいい加減に!
※機器については取扱説明書等,手元になければネットで調べる
■(b)グループでの討論・分担
残り2 つのルールについて考えよう.プロローグで言われたヒント
(1)『発想は空を飛び,作業は地に足をつけて』
を思い出してほしい.
◎ゴールを具体化する:
(1)最初にやるべきなのは「ゴールを共有する」こと.
(2)次にそのゴールに向かっていくにはどうすればよいのかを検討する.
(3)方法が定まったらそれを一つ一つのステップに細分化する.
(4)細分化した作業を誰がやるのかを明確にして,担当者は責任をもって作業し,その知見や生じたことをグループで共有する.
(5)問題があれば すぐに皆で検討し,解決策を講じる.
※データが変だ,計算値が違う等
◎自由な発想で計画する:
ゴールにたどり着く方法は一つではない.課題解決には,自分たちの「道筋」を作る必要がある.
→ そのためには,自由に発想し(外化),評価せずに広げ(非評価),それを見えるようにまとめる(可視化).
※これらはグループワークでは非常に大切なキーワード
a.外化: 連想ゲームのように湧いてきた単語や考えを言葉にして出す.質より量
b.非評価: アイデア出しの段階ではお互いに出したものを評価しない
c.可視化: 出てきたアイデアをグループ化したりマップにして全体像を作る
★注意: 「自由な発想」は,トレーニングしないと出てこない.
ふだん私達 (特に日本人) は「常識」「空気を読む」「同調圧力」の中で生きている.
そのほうが敵を作りにくいし攻撃もされにくいからである.
しかし 「ないものを作り出す」にはそれらをすべて捨てる必要がある.
他の人もそれをバカにしたり揶揄したりせず,楽しんで尻馬に乗ってどんどん「ぶっ飛びの発想」を膨らませていこう. → それには慣れが必要だ.
※「グループ発想法」「ブレインストーミング」「KJ 法」等で検索
◎データを正しく共有する:
実験が進むと分担した作業での知見やデータが得られる.
※「知見」とは,当事者でないと知り得ない見識. 「メモしておけば役に立ちそう」なこと.重要な発見や学びへの道標.実験は新たな知見を得るためにやっているのだ
データを取る基本は自分の眼と手だ.必ず数値として記録する.
※スマホのカメラは,詳細なデータ記録には向いていないので注意.
← 写真はよけいな情報が入るため,グラフの代わりは難しい.
取得したデータや知見(メモ)をグループで共有し,確認しあって,グループでデータセットを統一する.
※共有にはネットを利用しよう.
共有する際の注意:画像だけ,データだけでは,他人がわからない.必ず簡単な解説や条件を付記しておくこと.
※一週間すれば自分もほぼ他人だと認識しておこう
以下に情報共有の工夫についてまとめた.
■ (c) まとめ・レポート
◎データ・数値のまとめ表を作成する:
各手順でのデータや計算値が揃えば,評価や考察の前に,数値を表にまとめて整理する.
報告書として読み手にわかりやすく伝えるためにも,データ・数値のまとめは必須だと言える.
表にまとめることによって,自分たちが何を取得できたのかを再認識し,不足データや誤計算に気づくこともある.
◎レポートを作成する:
整理された数値を眺めデータが揃えば,それをどう評価するかを話し合う.
書くのは個人だが,データは必ずグループで統一したものを使用する.
計算式や結果なども,検討し確認しあう.
状況を見て実験中からレポートを書きはじめても構わない.
レポートの締切は絶対に守る.
※宝くじは買わなければ当たらない.レポートは出さなければ点がつかない
https://gyazo.com/2b746b8fb961837a918c5ea232fbac05
図007.1 実験の流れ概略
以上.
2024/4/2